高槻東高校@新聞部

  スポーツ学校である高槻東高校に存在する、数少ない非運動系の新聞部。
  取材拒否にも負けず、悪名にも挫けず、学校新聞を発行しています。
  ライトなラノベコンテスト応募作品 カテゴリの「本文」からどうぞ

3.新聞部@調査中

「おかしい。何かがおかしい」
「あらあら、良太君。今日はクイズかしら?」

 先週、WEB新聞を公開中止にし、まともに部活動を再会させたはずの新聞部。

 一部の生徒にWEB新聞が見られてしまってはいたが、1週間真面目に活動し、今週の原稿チェックも問題なくパスした。
 全く問題ないように思えたのだが、何か引っかかる。
「綾瀬部長。今日の女子バスケ部の取材の件って、ちゃんと許可貰ってたんですよね?」
「もちろんよ。おねーさんが、1週間前にバスケ部部長の山根さんに話をつけているわー」
「ですよねー」

 おそらく、綾瀬先輩の話は本当だろう。時々暴走して、破天荒な記事を書いたりするものの、取材活動やその手続きなんかは完璧に行う人だ。
「ところが、約束の時間通りに行ったんですが、取材拒否されちゃいまして」
「あらあら、どういうことかしら? 良太君、更衣室とか覗いたりしてないわよね?」

 いや、千香じゃあるまいし、女子更衣室を覗いたりなんかしない。
 おそらく、それを本当に実行して、教師にバレようものなら停学……ヘタをすれば退学になる。

「良太。理由とかは聞かなかったの?」
「聞いたんだけど、教えてくれなかったんだ」

 ちゃんと新聞部の腕章をし、部長さんに挨拶しに行ったんだけど、「やっぱりヤダ」という子供みたいな言い分の一点張り。
 結局、体育館を追い出されてしまった。
「で、これが今日だけで女子バスケ部と女子硬式テニス部、女子ハンドボール部と3つも断られてるんですよ」
「ちょっと、女子の部活ばっかりじゃない。良太、何か女子に嫌われるようなことでもしたんじゃない?」

 いや、その女子部ばっかりの取材スケジュールを組んだのは、俺じゃなくて綾瀬先輩なんだけどな。
「女子に嫌われたかどうかは置いといて、昨日も陸上部と野球部に取材拒否されたんだ」
「ふーん、女子限定ではないんだ」
「そうなんだよ」

 スポーツ学校だけあって、各部活の成績と部員数で部活の予算が決められる。
 各部の新入部員数一覧は、みんな興味がある情報らしく、去年のこの時期は喜んで取材に応じてくれたのに……。
「ただ、それ以前は普通に取材出来たんだよ。サッカー部に柔道部、女子剣道部とか。
 だから、2日前に何かがあったんじゃないかなって思ってるんだけど」
「あらあら、取材出来ないのは困ったわねー。おねーさん、一年生の美少年たちが煌めかせる爽やかな汗を見に行きたいのにー」

 どんな汗だ、それは。
「そうよ、困るわ。私も水泳部の1年生を見に行きたいのに」
「2人とも、疾しい目的とか無いですよね……」

 とにかく、調べてみる必要がありそうだ。
 ややこしいことになってなければ良いけど……。

2.新聞部@部員募集中-8

「綾瀬部長。このWEB新聞って、1人で作ったんですか?」
「そうよー。取材から帰ってきたら、誰も居ないんだもの。おねーさん、悲しかったわー」

 一応、17時までは待ったんだけど。
「じゃあ、この新聞に千香は絡んでないんですか?」
「そうそう。今日の昼休みに橋長先生から手続きが完了したって連絡があったから、おねーさんすぐアップしちゃった」

 ということは、公開されて4時間くらい。一体、どれくらいの生徒に見られてしまったんだろうか。
「ん? 綾瀬部長、WEBとか詳しいんですか?」
「もちろんよー。おねーさん、これでも新聞部部長よー」

 そうか。千香とWEBの話で白熱してしまったせいで、勝手に千香の仕業と思っていた。
 確かに、綾瀬先輩がWEB新聞を作れないなんて、一度も言っていない。
「あれ? でも、あのイラストは千香が描いたものですよね?」

 WEB新聞には、確かに半裸の少年の絵が載っていた。
「そうなのよー。前からお願いしてたんだけど、千香ちゃん女の子の絵しか描いてくれないからー。
 昨日、やっと完成したってメールが来てたのよー」

 あ、そうだ。よく考えたら、あの千香が自ら男を描くわけないか。

 今回のWEB新聞の話。ちゃんと整理すれば、千香じゃないことに気付けたはず。
 幸い、本人に何か言ったわけじゃないけど、勝手に犯人と思い込んでしまっていた。

 ……もう少しで、千香を深く傷つけるところだった。
 本当に、気をつけよう。


「で、綾瀬部長。このWEB新聞なんですが」
「あらあら、なあに?」
「早速、風紀委員からクレームがきています」

……

「もー、そうなの? おねーさん悔しい。良太君、慰めてー」

 少し間があって、綾瀬先輩が顔を上げた。顔は笑っているけど、案外本当に悔しがってるのかもしれない。
 目尻に涙の跡があるようにも見える。

 だけど、だからっと言ってこのまま放置はできない。
 何とか先輩を説得し、今のWEB新聞の公開を停止してもらった。


 とりあえず、WEB新聞の代替策として、せっかく学校のサーバが使えるので、意見箱みたいなものを設置してもらった。
 携帯やパソコンから、匿名で意見が出せるもの。
 もちろん、記名してもらっても構わないし、新聞部以外に投書内容を公開しないことも記載しておいた。

 これが部員獲得に繋がるかと聞かれれば、直接は繋がらない。
 けれど、こちらからの一方的な情報伝達だけではなく、双方向で情報が行き来できれば、新聞部の評価も上がり、部員獲得へ間接的に繋がると思っている。

 さて、部員勧誘活動再会だ!

2.新聞部@部員募集中-7

「千香ー、うそだろー」

 千香が休みと聞いて、思わず座り込む。
 まずい。ここに千香が居ないということは、自宅からWEB新聞を作ったということになる。

 一刻も早くWEB新聞を止めたい。けど、それには千香の家に行かなくてはならないということか。

「あらあら、良太君は千香ちゃんが居なくて、そんなに悲しいのね。
 おねーさん、妬いちゃうわ」

 とりあえず、綾瀬先輩の戯言は無視。
 この新聞部の危機をどうやって乗り越えるか、頭をフル回転させる。


 千香に電話でWEB新聞を消させる……けど、こんな短時間でWEB新聞を作ったんだ。相当、無理したに違いない。
 学校を休んだのは、おそらく本当に体調不良。そんな千香に、電話で作った新聞を消せなんて言えるだろうか。
 仮に、心を鬼にして言ったとして、あの千香が俺の電話で素直に新聞を消すだろうか。
「ねえねえ、良太君。そんなに真剣な顔して、千香ちゃんのこと考えてるの?
 おねーさんのことも見てよー」

 はいはい、また後で見ます。
 そもそも、千香が体調不良で寝ているのであれば、電話はまずい。流石に安静にしておくべきだろう。
 なら、メールを送ってみようか。けど、それじゃ千香がメールに気付かず、ずっと新聞を放置される可能性もある。
「もー、良太君ってば。そんなに千香ちゃんが心配なら、お見舞いに行けばいいじゃない」

 ぶほぁっ!

「な、何ですか、お見舞いって」
「あら、やっとおねーさんを見てくれたわね」
「って、何で服脱いでるんですか!」

 ずっと考えこんでて気付かなかったけど、綾瀬先輩が何故かセーラー服を脱いでる途中だった。
「だって、良太君が構ってくれないしー。おねーさん、寂しいしー」

 この人は寂しいと脱ぐのか? 相変わらず、行動パターンが読めない。
「えっと、話を戻しますけど、家に行くのはまずくないですか?」
「あら、何故かしら?」
「いや、だって俺男ですし」

 流石に、年頃の女の子の家に男が1人で行くのはまずいだろ。
「あらあら、良太君は1人で行きたいのね。おねーさん、仲間はずれー。すねちゃうわよ」
「えっ……あ、あぁ、そうですよね。一緒に行きますよね」

 あ、ほんとにいじけだした。
「いいのよー。おねーさん、部室で1人寂しくWEB新聞の更新しとくからー。
 千香ちゃんとらぶらぶして来なさーい」

 らぶらぶって……。
「ん? 綾瀬部長、WEB新聞の更新って言いました?」
「言ったわよー」

 急いでタブレット端末を取り出す。
「もしかして、このWEB新聞って、綾瀬部長が作ったんですか?」
「そうよー。おねーさん、頑張ったんだからー」

 あんたが犯人ですか……。

2.新聞部@部員募集中-6

「ちょっと、平井良太! こっちへ来なさい!」

 デジャヴだろうか。つい最近、さよちゃんから同じようなセリフを聞いた気がする。
 嫌な予感しかしないが、大人しく従う。

 前回と少し違うのは、風紀委員室ではなく、その辺の空き教室に入ったこと。
 放課後ということもあり、誰も居ない。

「で、これは何かしら」

 さよちゃんの手にあるのは、淡いピンク色のスマートフォン。風紀委員らしく、デコったりはしていない。
「うん、1つ前の型のスマホだよね。さよちゃんはピンクが好きなんだね」
「そんなつまらない台詞は要らないわ。このWEB新聞について聞いているの」

 スマホに映し出されているのは、どうやらうちの新聞部のWEB新聞らしい。
 大きく「高槻東高校新聞」と見出しが出ている。

 昨日、千香の筋肉描写モデルを断った後、綾瀬先輩も戻って来ないので、17時に解散となった。
 そして、現在16時。新聞部員である俺すら知らない間に、WEB新聞が出来上がっていた。

「ごめん、とりあえずそのWEB新聞のURL教えて。こっちのタブレット端末で見てみるよ」

 新聞部の特権、タブレット端末。
 うちの学校は携帯電話は許可されているが、タブレット端末の持ち込みは原則禁止されている。
 しかし、新聞部は部活動に必要ということで、タブレット端末やデジカメなんかの持ち込みが許可されている。もちろん、放課後までは使用禁止だが。

 さよちゃんにURLを教えて貰い、端末に打ち込む。

 ……

 内容はかなり酷かった。
 記事もイラストも千香が書いたのだろうか。美少年と……いや、もういい。

 今まで風紀委員のチェックで抑圧されていたからなのか、去年の暗黒時代の比ではない。
 何時にこの新聞が公開されたのかはわからないが、今すぐ公開を中止させないと。
「ごめん、さよちゃん。まさかこんなことになるなんて」
「いいから、早くこれ消してきて! 新聞部本当に潰れちゃうよ?」

 確かに、こんな新聞を公開するような部に新入部員が来てくれるとは思えない。
 さよちゃんに礼を言って、部室へ走り出す。

 だけど、ここで1つ疑問が浮かぶ。何故、さよちゃんは俺も知らないWEB新聞のURLを知っていたんだろうか。

 一瞬疑問が浮かんだけれど、目的地である部室に到着。

「千香ぁー!」

 叫びながら、勢いに任せ部室に飛び込む。

「あらあら良太君、青春ごっこ? 千香ちゃん、今日はお休みよ」

 綾瀬先輩から、最悪の回答が返ってきてしまった。

2.新聞部@部員募集中-5

「失礼しましたー」

 職員室を出る。
 WEB新聞の課題としていた維持費。千香の言う、サーバとかドメインとか、よくわからないけど技術的なやつ。
 何故だかわからないが、顧問に話したら一発で解決してしまった。

 顧問からは、「待ってたよ。手続きしとくから頑張れ」の一言で終わってしまった。
 何で顧問の先生がWEB新聞のことを知っているのかわからない。
 こっそり、千香が手を回していてくれたんだろうか。さっきのは自作自演? いや、そんな感じには見えなかった。

「ただいま戻りましたー」

 釈然としないまま歩いていたら、すぐに部室に着いてしまった。
「良太君。橋長先生は何て?」
「いやー、学校のサーバと、無線ルータって言ってたかな? その一部を使えるように手続きしてくれるそうです」
「あら、やったじゃない。流石、橋長先生ね」

 橋長先生は定年手前のおじいさん。めったに部室にも来ないし、パソコンなんかも詳しくなさそうなんだけど……。
「良太、良かったじゃない」
「あ、あぁ」

 あれ? いつもの千香に戻ってる? それとも俺が勝手に舞い上がってただけなのか?
「とりあえずサーバが使えるようになったら、WEB新聞を公開するとして、WEBでどんなことがやりたいの?」
「それについては、おねーさんに提案があるわ」

 綾瀬先輩が急にやる気を出した。こういう時は、たいてい良くないことになるんだが。
「ふっふっふ。WEB新聞ということは、風紀委員のチェックなしに、自由に作れるわけよね」

 ……まさか。
「紙の新聞では出来ない、この学校のアンダーグラウンドを特集するわっ!」
「綾瀬部長! それです! それしかありません!」

 千香の目が輝きだした。
 やばい。これはやばいぞ。部員が一気に3人にまで減った、あの暗黒時代再来となる。

「じゃあ、おねーさんは取材に行って来るから、みんな後は適当にやっといて」
「任せてください!」

 いやいやいや、任せられないから。
「ちょっと、綾瀬部長。待ってください!!」

 叫んだものの、既に綾瀬先輩の姿はなく、部室で千香と2人きりにされてしまった。
 どうしよう。さっきの様子だと、いつも通りの千香のようにも見えたけど……。
 少し、千香の様子を見てみる。

 千香と目が合う。いや、正しくは合っている気がする。
 前髪で千香の目線がはっきりと見えないけど、間違いなく俺を見ている。

「ねぇ……良太」
「は、はい」

 千香が少しずつ近寄ってくる。
 その顔は少し紅くなっていて、興奮しているようにも見える。

「あのさ……言い難いんだけどさ」
「お、おぅ」

 また一歩、千香が近づいて来る。
 自分でもわけがわからないが、また胸がドキドキしだした。
 相変わらず千香の目は見えないけど、何故かつい唇をじっと見てしまう。 
 そして、千香の唇が僅かに開き、次の言葉が発せられる。
 
「男の娘の絵を描きたいから、メイド服着てモデルになって」
「却下!」

 やっぱり、いつもの千香だった。
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ラノベ執筆の勉強中です。ファンタジー系好き。普段は同人ゲームとか作ってるド素人ですが、よろしくお願いします。ちなみに中身はアニメとゲーム好きなシステムエンジニアです。 好きな作品:スレイヤーズ、爆れつハンター

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