「それでは、第1回新聞部緊急議会を開きます。
 司会進行は私、平井良太が務めさせていただきます」

 風紀委員室を出て、新聞部部室のドアを開けた瞬間に言い放ってやった。
 綾瀬部長と千香。この濃い2人から俺が主導権を得るには、不意打ちくらい必要だ。
「良太、いきなりどうしたの?」

 千香が目を丸くしているが、作戦通り。強引に話を続ける。
「議題その1。新入部員が入らないと、新聞部が廃部になります!」
「良太が頑張れば良いじゃない」

 千香が「だから何?」とでも言いたげな顔で俺を見てくる。
「その頑張りを無駄にしているのは、どこのどいつだっけ?」
「ふっ。過去のことは忘れたわ」

 いや、まだ1時間も経ってないから。
「この際、ツインテールじゃなくても、女子じゃなくても良いじゃないか。とりあえず、新入部員捕まえないと」
「えー、じゃあ良太がツインテールにしてよ」

 俺をツインテールにして、こいつは何がしたいんだろうか。
「綾瀬部長ー。何とか言ってやってくださいよー」

 不意打ちのアドバンテージが早くも無くなってしまったので、困った時の綾瀬部長頼み。
「そうね。良太君はツインテールよりも、ボブカットが良いんじゃないかしら」
「髪型の話じゃないです」

 頼ってみたものの、やっぱりダメだった。しかも、何で2人とも当然のように女装を指定するんだよ。
「冗談よ。こうなったら、おねーさんが可愛い美少年を勧誘してくるわ」
「やる気を出して頂いたところ申し訳ないんですが……」
「なぁに?」
「議題その2として、今週号の原稿が書き直しになりました」

 どっちかというと、こっちの議題の方が緊急だった。話す順番を間違えたかもしれない。
「それは、おねーさん悲しいわね。コラムなんか特に頑張ったのに」
「いや、そのコラムが原因なんですけど」

 綾瀬部長がちょっといじけてる。
「とりあえず、綾瀬部長は原稿書き直してください。
 で、俺と千香は部員勧誘の対策を考えます」

「えー! 私もやるのー?」
「やれよー!」

 こうして、新聞部の部員獲得作戦が始まった。