「綾瀬部長。このWEB新聞って、1人で作ったんですか?」
「そうよー。取材から帰ってきたら、誰も居ないんだもの。おねーさん、悲しかったわー」

 一応、17時までは待ったんだけど。
「じゃあ、この新聞に千香は絡んでないんですか?」
「そうそう。今日の昼休みに橋長先生から手続きが完了したって連絡があったから、おねーさんすぐアップしちゃった」

 ということは、公開されて4時間くらい。一体、どれくらいの生徒に見られてしまったんだろうか。
「ん? 綾瀬部長、WEBとか詳しいんですか?」
「もちろんよー。おねーさん、これでも新聞部部長よー」

 そうか。千香とWEBの話で白熱してしまったせいで、勝手に千香の仕業と思っていた。
 確かに、綾瀬先輩がWEB新聞を作れないなんて、一度も言っていない。
「あれ? でも、あのイラストは千香が描いたものですよね?」

 WEB新聞には、確かに半裸の少年の絵が載っていた。
「そうなのよー。前からお願いしてたんだけど、千香ちゃん女の子の絵しか描いてくれないからー。
 昨日、やっと完成したってメールが来てたのよー」

 あ、そうだ。よく考えたら、あの千香が自ら男を描くわけないか。

 今回のWEB新聞の話。ちゃんと整理すれば、千香じゃないことに気付けたはず。
 幸い、本人に何か言ったわけじゃないけど、勝手に犯人と思い込んでしまっていた。

 ……もう少しで、千香を深く傷つけるところだった。
 本当に、気をつけよう。


「で、綾瀬部長。このWEB新聞なんですが」
「あらあら、なあに?」
「早速、風紀委員からクレームがきています」

……

「もー、そうなの? おねーさん悔しい。良太君、慰めてー」

 少し間があって、綾瀬先輩が顔を上げた。顔は笑っているけど、案外本当に悔しがってるのかもしれない。
 目尻に涙の跡があるようにも見える。

 だけど、だからっと言ってこのまま放置はできない。
 何とか先輩を説得し、今のWEB新聞の公開を停止してもらった。


 とりあえず、WEB新聞の代替策として、せっかく学校のサーバが使えるので、意見箱みたいなものを設置してもらった。
 携帯やパソコンから、匿名で意見が出せるもの。
 もちろん、記名してもらっても構わないし、新聞部以外に投書内容を公開しないことも記載しておいた。

 これが部員獲得に繋がるかと聞かれれば、直接は繋がらない。
 けれど、こちらからの一方的な情報伝達だけではなく、双方向で情報が行き来できれば、新聞部の評価も上がり、部員獲得へ間接的に繋がると思っている。

 さて、部員勧誘活動再会だ!