「良太! 大変、大変よ」

 珍しく、千香が部室に走ってきた。
「どうしたんだ? そんなに慌てて」
「わかった。わかったのよ」
「何が?」
「写真。写真のことよ」

 写真――ここ数日の取材拒否のキーワード。
 そして判っているのは、非運動系の部活が今まで通り取材を許可してくれるのに対し、運動系の部活が完全取材拒否であること。
「一体、何がわかったんだ?」
「友達のクラスメイトの先輩に教えてもらったんだけどさ」

 そこはもう、知人で良いんじゃないか? まぁどうでもいいが。
「風紀委員よ、風紀委員。新聞部の変な噂の出元」
「変な噂? とりあえず、順を追って話してくれるか?」

 興奮気味の千香を観て、綾瀬先輩も近づいてきた。
「良太が取材拒否された理由だけど、風紀委員が各部活に『新聞部は取材と称して、躍動感溢れる筋肉を、ピチピチ弾ける肉体を、そして苦しみに耐えるその顔を写真に納めてコレクションしてる』って言い回っているらしいの」
「なんだってー!」

 ……ん? よく考えたら、あながち間違っていないような気がするんだが。
「あらあら、それは失礼ね。私は美少年の写真しか収集していないわ」
「そうですよ。私も可愛い美少女の写真しか集めてないですよ」

 おい。

「そうそう、男子バレー部の1年生に、可愛い男の子が入ったらしいわね」
「ソフトボール部にも可愛い女の子が居るらしいですよ」

 とりあえず、止めさせよう。この会話も、コレクションも……。
「あー、とりあえず、取材拒否される心当たりがあるんだな」
「ないわよ。さっきも言ったけど、私は美少女にしか興味がないわ」

 いや、そんなことを堂々と宣言されても。
「そうねぇ、とりあえず新聞部の悪評を言いふらしている元凶。風紀委員の様子を探りましょうか」

 ……まぁ、悪評と言えば悪評だけど、正当評価でもあると思うのだが。
 そして、本当の元凶は貴方たち2人だったりするんではないだろうか。

「さぁ、良太! 風紀委員会メンバーの行動パターンから、好きな食べ物まで、些細なことでも良いから調べてきなさい」
「何で俺なんだよ」
「え、じゃあ次の新聞のイラスト書いてくれる?」
「……風紀委員の偵察、行ってきます」

 疲労感たっぷりで、部室を後にした。