「高木さん、この資料を30部コピーしてきてくれるかしら」
「はい、わかりました」

 柱の影から、こっそり風紀委員会室を偵察する。
 何かはわからないが、さよちゃんが部屋を出るようだ。とりあえず、空き教室に隠れてやり過ごす。

 さて、どうしたものか。
 1.このまま何となく風紀委員会室の様子を探る。
 2.顔見知りのさよちゃんに、それとなく話を聞く。
 3.疲れたから部室に帰る。

 心情的には、間違いなく3の「帰る」なのだが。
 段々、何してんだろ? という気持ちになってくる。

 とは言え、このまま帰ると千香に何を言われるかわからない。

 仕方が無い。気乗りはしないが、一番有益そうな2の「さよちゃん攻め」をすることにした。


「高木さん、今日も風紀委員? 大変ね」
「あはは、でもやりがいあるし頑張るよ。さよならー」

 さよちゃんの友達だろうか。手短に挨拶し、足を進めている。


「こらー! そこの男子たち! 廊下は走らないの」
「はーい」
「まったく」
「あははー、さよちゃんに怒られちゃったー」

 流石、さよちゃん。怒られた相手が笑っている。……いや、風紀委員としてはダメなんだけどさ。


「失礼します」

 さよちゃんが同じフロアにある、生徒会室へ入っていった。
 そういや、コピーがどうこう言ってたな。うちの学校は職員室と生徒会室、そして購買の3箇所にしかコピー機がない。

 流石に生徒会室へ用事がある生徒は少なく、こんな場所に立ち止まっていると目立ってしまう。
 ここは通り過ぎて、遠くでさよちゃんが出てくるのを待つのが正解だろう。


「この辺でいいか」

 生徒会室のドアが遠目に見える渡り廊下。真下に中庭が見え、女子生徒3人が歩いているのが見える。
 とりあえず、ここで生徒会室のドアを見つつ、しばし待機。

「……俺は一体、何をしているんだ?」

 待っている間に、今日の行動を振り替えると、完全にストーカー。
 知らない仲ではないのだから、変に後をつけずにスパっと聞いてしまった方が良いのかもしれない。
 というか、そうすべきだろう。さよちゃんが生徒会室から出てきたら、声をかけよう。

 ……

 生徒会室のドアが開き、中からさよちゃんが出てきた。

 さて、まずはどうやって話しかけようか。