「風紀委員長を拉致しましょう」
「千香、流石にそれはやりすぎ」

 対風紀委員との作戦会議。
 風紀委員と争いになるかもしれないが、あくまでそれは手段であり、目的は新聞部の悪評を撤回すること。
 まず、どうすれば新聞部の悪評が撤回されるのかを考えなければならない。

「おねーさんは、風紀委員との3種バトルを提案するわ」
「どういう意味ですか?」
「新聞部と風紀委員の3回勝負で、先に2勝した方が、予め決めた要求を相手に行使させることが出来ることにするの」

 言いたいことは何となくわかるが、何をする気なんだろうか。
「ちなみに、具体的にはどんなことをするんですか?」
「そうね。新聞部が勝った場合、各部に通達している新聞部のことを撤回してもらうのと、新聞部に正式に謝罪してもらうわ」

 おぉ、綾瀬先輩にしては結構まともな意見。
「そして勝負の内容は、1回戦が風紀取締り対決」
「よくわかりませんが、風紀委員に有利そうな対決ですね」
「えぇ、1回戦は風紀委員。2回戦は新聞部が得意な勝負をして、3回戦は双方不得意な内容で勝負よ」

 ……最初から双方不得意な内容1本勝負で良いんじゃなかろうか。
「で、風紀取締り対決の内容は、仲が良すぎる美少年たちをより多く見つけられた方が勝ちよ」
「はい?」
「初めはふざけ合っているだけだった。ところが、視線と視線が交差する度に、肌と肌が触れ合ううちに、いつしかそれは恋へと変わっていく。そんないけない美少年を指導するための取り締まり対決よ」

 ……1番風紀を乱しているのは、綾瀬部長。あなただと思います。
「あ、ちなみに美少年限定だから。美少年と認められなければ、ポイントは加算されないわ」

 とりあえず、最後まで聞いてみることにした。
「そして、2回戦。これは新聞部に有利な、表現対決」
「ほう」
「女の子の匂いを嗅いで、その匂いをソムリエの如く的確に表現するの。気高く昇華された我々の表現は、もはや文学と言っても差し支えないわ。まさに高校生の対決としてふさわしい」

 ……やっぱり止めるべきか。流石に聞くに堪えなくなってきた。
「そういうことなら、私の出番ね!」
「あの……千香?」
「美少女からほのかに香る芳しき匂い。ほのかにシャンプーの香りと、汗の匂い。そして青い果実のような未熟な美少女の香りなら、どんなものでも嗅ぎ分けれるわ」

 千香……匂い当て対決じゃなくて、表現対決って先輩は言ってたよ。
「最後に、3回戦。双方の主張を裁判員に聞いてもらい、どちらの言い分が正しいか判定してもらう、演説対決」
「いや、それだけでよくないですか」
「あらあら、良太君。本来バトルの王道は5本勝負よ。だけど、人員不足で3本にしたの。だから、これ以上は譲れないわ」

 どうしよう。どこからつっこめば良いんだろう。
 流石に前2つの意味がわからないのと、そもそもこんな対決を風紀委員が受けてくれるとも思えない。
「ではでは、おねーさんが風紀委員に対決申し込んでくるわねー」
「いやいやいやいや、ちょっと待ってください!」

 俺の止める声も聞かず、綾瀬先輩は部室を飛び出してしまった。