「綾瀬部長! 千香! 聞いてくれ! あの元凶がわかったんだ!」

 猛ダッシュで学校へ。さよちゃん家から10分で部室に辿りついた。
「あらあら、良太君。お久しぶり。だめよー、部活サボっちゃ」
「綾瀬部長、すみませんでした。けど、聞いてください」

 ……と、部室を見渡すと、知らない顔の女子生徒が千香の前に座っている。
 怯えているのか、縮こまっているようにも見えなくない。新入部員なんだろうか。だが、今の新聞部に新入部員が来るとも思えないのだが。
「えっと、こちらの方は?」
「良太。あんたの言う、新聞部を貶めた元凶よ」
「へっ?!」

 あまりに唐突過ぎて、千香の言葉が理解できなかった。


「ど、どういうこと?」
「綾瀬部長にはさっき話したけど、この人は3年の近藤春香。生徒会副会長よ」
「生徒会!」

 さよちゃんから元凶じゃないかと教えてもらった、生徒会。しかも、その副会長。
 権力的には、今回の元凶として疑うには申し分ない。けど、どうやって彼女を突きとめたんだろうか。
「この人はね。私の従姉妹で、中学までは仲が良かったのよ。けど、彼女が高校1年生になった時、事件が起きて仲違いしちゃったの」
「で、その彼女が嫌がらせをしてきたと?」
「そう、その通り。多分、この人が犯人じゃないかなーって思ってたのに、良太と綾瀬先輩がどんどん事を大きくしていくから、言えなくなっちゃったけどさ」

 ちょっとバツが悪そうに、次第に千香の声が小さくなる。
「で、橋長先生から、あんたが高木さんの家に行くて聞いたから、そろそろ帰ってくるかなと思って、呼び出しといたの」

 行動パターンが読まれているのが気になるが、それよりも今はもっと大きな疑問がある。
「でも、仲が悪くなったのは2年も前だろ? 何で今さら?」
「……許せなかったの」

 副会長が小さな声で、しかしはっきりと言った。
「何よ、新聞部のWEB新聞。あれだけ私がマッチョ×マッチョの良さを熱弁したのに、ショタ推しなんて」
「は?」

 副会長から、予想外の台詞が出てきて困惑する。
「何言っているの! マッチョなんてありえないし。女の子が一番良いに決まってるじゃない!」
「じゃあ、何で違うの描いてるのよ!」
「それは、こっちにも事情ってものがあるのよ!」

 副会長と千香が言い合いになる。
「あのー、2人が仲が悪くなった理由って……」
「作品の方向性の違いよ!」

 どうやら、2人は中学時代に一緒に本を描いていたらしい。
 そして、今回の一件がただの内輪もめだということがわかった。